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情画
第17章 新芽

「これ皆同じ花?」

「そう菖蒲って花だよ。」

「花の色がふわぁああってなってるね。」

菖蒲の葉の緑の間に花のグラデーションが素晴らしかった。


「散歩してもいいし、1つの花を描いてもいいし、景色でもいいし。」

「景色って?」

「空とか山とか花の固まり、沼や、この板とか

実が好きなまとまりで描くことだよ。」

「うーん」

「まずは実が描きたいところを探して歩こうか。」

「うん。」

小さな探検隊長は絵の道具を背負い先頭を歩き始めた。

「この板の下は沼だから落ちないようにね。」

実が歌いながら進みだした。

道は所々分岐したり休憩スペースがある。
分岐に来るたび、ぐるっと見回して進む方向を決める。

水と空と一面の菖蒲に晴れやかな気分になった。

「あっちは白、こっちは黄色、あと青に、紫。」

どうやら、園の中心なのかグラデーションの分岐がはっきりするスペースに出た。

「ここだと全部の色があって、好きな所が選べるよ。」

「ここに決まり?」

「うん。」

折り畳み椅子や絵の道具を広げる。

「じゃあ、スタートね。」

椅子をそれぞれ好みの場所に置き、画板を首から提げて描き始めたのだ。
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