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情画
第17章 新芽
抑揚もなく事務的なメッセージ、むろんワタシが聞くかわからずに残したもの。
ワタシに落ち度があるから言えないことだけど、やはり、疑問に思う。結婚して10年以上の月日は何だったのだろうかと…

「いずみ、ご主人とは連絡取れますか?」

「え?」

「届を出したこと、引っ越しの準備は整ったことだけでも、伝えた方がいいですよ。」

「でも、仕事中は電話にでないから、」

「留守電でもいいですよ。きちんと連絡して、すっきりしたほうが…」

「わかりました。」

「僕は外に出ていますよ。」

先生は玄関を出られた。

主人の携帯に電話する。もし出たらどうしよう。
今まで仕事中に出ることはなかったけど緊張する。


コール音から留守電応答メッセージに切り替わる。
直接話すことがなくてほっとしながらも、届を出した日と引っ越しの準備が出来ていることをメッセージに残す。

「長年お世話になりました。」

今までのお礼だけ伝えて受話器を置いた。

もし、主人が検査せず、お腹の子供を迎え入れていたら、どうなっていたのだろうか…

ワタシは先生と主人の間をずっと行ったり来たりしていたのだろうか…

主人には申し訳ないけれど、これで良かったのだ。
そう言い聞かせた。
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