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情画
第17章 新芽
「先生、終わりました。」

外で待つ先生に声を掛ける。もう一度、荷物を確認して家に鍵を掛ける。

もう、このドアを開けることはない。

先生が黙って差し出してくれた手を取って屋敷に戻った。


「全部終わったんですよ。」

門をくぐった途端、先生に抱き締められる。

「もう、過去に戻る必要はない。貴女も実もここの住人、僕の家族です。」

抱き締められて戸惑うワタシの耳元で先生が囁く。

あぁ…温かい…

先生が背中に置かれた手にギュッと力が入り、さらに引き寄せられる。

そう、もう振り向かない。先生との新しい道を進もう。そう決心した。


沢山余っている部屋を見せてもらい、部屋の用途を考える。

結局ワタシの荷物を置く部屋を作り、寝室は先生の部屋となった。

沙絵さんと先生の趣味の部屋もあの時のまま、ただ実が入らないようにと鍵を掛けた。

アトリエも同じように鍵を掛ける。

三人で寝た和室の他にもまだ余っている部屋はあった。

「まだまだ家族は増やせますよ。」

先生が意味深な冗談を言っていた。

そして、もう一つ実家にも連絡を取るように言われる。
何とも連絡しづらいのだけど、心配をかけてはいけないと言われた。
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