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情画
第17章 新芽
先生の絵の為に私が出来ることは何でもしたいと思った。

肌に絵を描くという発想、洗ってしまえば落ちてしまう、一時の絵画…

題材になるのも、素材になるのも、さして変わらないと思っていた。

背面に筆が走る間は何とか堪えられたが、先生が間近に居て、筆の擽る感覚に、ワタシは一人反応していた。

先生が支える為に置かれた手から、題材とワタシを行き交う視線の部分から、身体中に熱が籠っていった。

濡れた筆が走る感覚に体が反応する。先生が真剣に取り組んでいるというのに、ワタシは乱れていく。

乳房に筆が走るときには、思わず声が漏れ、ねだってしまいたくなるのを堪えた。

やっと出来上がる。作品が見たい。いやそれよりも早く先生に触れたい。そう思っていた。


先生が紙をテーブルに出され、鏡のカーテンが開かれた。


「ご覧になりますか?」

ワタシが頷くと、先生に連れられて鏡の前に立たされる。

前面に咲き綻ぶ芍薬はワタシに印された先生の愛に思えた。

背面の蝶は振り返っても肩口の1羽しか見えなかった。

「もう少し続けても大丈夫ですか?」

先生がワタシの着物を持ってきた。
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