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情画
第17章 新芽
実が持っていたのは、記憶に残る最初の誕生日プレゼントの汽車だった。

気に入ったものがなくて主人と何軒か回って決めたもの…

動かなくなってオモチャ箱の底に眠っていた記憶…


実が主人との思い出を探しているのがわかった。

「実、他にも忘れ物がないか見ててね。
ママ達下を見てるから、」

実の気持ちを考えると辛くなり、先生の手を引いて部屋を出た。


リビングをチェックする。
実のお気に入りのマグカップも持っていくことにした。

「少しずつ今の生活に慣れて、新しい思い出が増えますよ。
焦らずゆっくりいきましょう。
僕も自分に言い聞かせてますよ。」

「はい…」

「実が大事にしたいと思う思い出を無理に塗り替える必要もないし、僕は気にしませんから、
実が持っていきたいものを持っていきましょう。」

「ありがとうございます。」

しばらく待っていても、実が降りてくる様子がなかった。

2階にあがり覗いてみるとオモチャを握りしめて眠ってしまっていた。

「実、もう大丈夫ですか?」

「せんせ…、僕…寝ちゃってた。
もう大丈夫…」

「実、枕持っていくか?」

「いいの?」

「枕が変わると眠れないってよく言うからね。」
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