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情画
第18章 朝顔でも昼顔でもない花
小さいのに、沢山考えて、沢山我慢していたんだ。

立ち上がると抱き着いていた手に力が入り、ギュッと肩を掴まれる。

「大丈夫だよ。実、僕はもう、君のことを離したりしないから…」

うわぁあぁん…

実は僕の肩に顔を埋めてまだ泣いていた。

父親に別れも告げられず置いていかれた実は、自分が捨てられたと思っていただろう。

でも、君は捨てられたんじゃない。僕の元に帰って来たんだよ。

寂しく思う必要はないんだよ。

泣いている実に今言わなくてもいい。

時間はたっぷりあるんだから…

泣き声が小さくなって途切れると、ズシリと実が重くなる。

泣き疲れて寝たかな。
屋敷に戻ろう。

ゆっくりと向きを変えると、離れたところで息を殺して泣いている人がもう一人いた。

「実…」

「寝ちゃったみたいですね。」

「先生、朝顔咲き続けてたんですね。」

「ええ、皆の想いが通じたんですね。」

「萎んでしまって戻って来ないのかと、見にきてしまいました。」

「少しずつ、わかっていけばいいです。皆が…」

実を抱き上げたまま、貴女と並んで屋敷に戻った。

ランドセルを片手ずつ貴女がそっと外す。一瞬離れた手が慌てて僕にしがみつく。
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