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情画
第21章 秋
母が肘で突いて父に何か促す。

「その…今日はウチで夕飯でも食べていかないか?」

「あ、あの…よろしいんですか?」

「お、俺がいいと言ってるんだから、君が良ければいいんだよ。」

「じゃあ是非、ご馳走になります。」

父も仕事人間で不器用な人だ。うまい言葉もなかなか出ないのだろう。

「ところで君は将棋はできるかな?」

「はい。」

「ゆうパパ、わかるの?僕にも教えて?」

「ではお父さん、僕と実で組んでいいですか?」

「お、お父さん?」

「では…なんとお呼びすれば…」

「ゆうパパ、お父さんじゃなくておじいちゃんだよ?」

「お、おじいちゃん?」

「お父さんと呼ばせていただいてよろしいですか?」

「おじいちゃんではないから、いいだろう。」


「ではお手柔らかに…」

「実、まずはおじいちゃんと同じように置いてごらん。置きながら駒の進み方を説明するからね。」

「おじいちゃんではない。」

「いや、お父さん、実にとってはおじいちゃんですから…」

漫才のようなやり取りに母と吹き出さないように堪えながらキッチンに向かった。

「いずみ、彼、いい人ね。」

母は先生の良さをわかってくれたようだ。
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