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情画
第22章 梅
玄関のベル…

「帰りには完全にこの屋敷の人間になるのよ。ワタシもあなたもお兄ちゃんも…」

やっと迎えた半年という制限時間…

感慨深く鍵を閉める。

玄関に程近い庭木は冬に咲く。


沈丁花や水仙が咲き誇り、清楚な香りが漂っていた。

見上げると実が言っていた梅の花が一輪綻んでいる。

「あなたは今日のワタシたちを祝福してくれるの?」

「あら、雪?」

ふわふわと小さい粉雪が舞い降りてくる。
はらり、はらり…

風に巻き上げられ舞い上がる粉雪は、
地上に降りるのを恐れているようにも見えた。

「冷えるはずよね。」

ズキンっ…

赤ちゃんが返事をするかのように、腹痛がする。

ワタシはお腹を擦りながらゆっくり門まで歩いた。


「やっぱり陣痛かしら…」


「いずみっ」

「ゆう…」

「大丈夫ですか…」


先生が走ってきた。

「ええ、やはり陣痛かも…」

「病院に行きましょう。」

「でも、10分間隔になるまで、まだまだですから、大丈夫です。」

「そうですか?では向かいますけど、無理せず言ってくださいよ。」

「先生、雪が降ってきましたね。」

「初雪ですね。」

こうして予定通り役所に向かった。
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