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情画
第22章 梅
「分娩室にも手術のようにベッドのまま入っていった。

沙絵の産声が聞こえたと同時に、医者から呼ばれたんです。

分娩室に入った時にはなかった点滴や酸素マスクを付けた沙織が、
沙絵を胸に抱き、酸素マスクを外して『この子をよろしく。』と、
いい終えると眠るように息を引き取った。

沙絵の届けや沙織の葬儀の手配、実家への連絡に追われてね。

母親のいない新生児は、初乳をもらい乳して、後はミルクになるんです。

一人看護婦に抱かれてミルクを飲む沙絵をみて、
もう寂しい思いはさせないと。

沙絵の為に頑張れたんです。そうでなかったら、何もできずぼーっとなってしまったかも知れませんね。


ごめんなさい。病院にくるとやはり思い出してしまって…」


「先生…なんでも話してください。先生のこと、沙織さんのこと、知りたいですから…」

「あなたが、屋敷に来てから、どうしても沙織と似た環境だと感じてね。
沙織の代わりとかでなく、
不甲斐なく思ってる僕にチャンスをくれて見守ってくれているように思うんです。」


「先生…この子の名前…」

「いえ…名前は生まれてから相談しましょう。
でも沙織ではないです。
沙織は沙織、この子はこの子ですからね。」
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