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情画
第22章 梅
「じゃあ行ってきます。」

「ゆう…運転気をつけてね。」

「ありがとう。」


先生は名残惜しそうに病室を出ていった。

ワタシはベッドに横になる。

もう少し待っててね。

お腹を擦り赤ちゃんに話していた。

母が心配していたことを思い出す。

いつも一緒で窮屈ではないのかと…

窮屈に思うことはないけれど、お互いに気を回して遠慮してるのではないか…

先生は沙織さんの話をするのを懸念していた。
逆に先生に遠慮してることがあるかもしれない。


主人との関係のように、いつからか、どことなく掛け違い、離れてしまうことがないように…

思ったことは話して聞いていこう。

ふぅうう…ふぅう…

ワタシは陣痛の合間にうつらうつらしていた。




車を出す。
ちょうど実が帰ってくるころだな。

いずみに沙織や沙絵の話をしてしまうなんて、
こんな時なのに…

でも嫌な顔をせず、むしろ温かい表情で貴女は聞いてくれた。

もし沙織が生きていれば…
貴女に出会うまで何度も考えた妄想。

それが、貴女がインターホン越しに、絵を習いたいと言ったあの日から、

無理矢理でなく、貴女の存在は溶け込むように、染み入るように、僕の心に入ってきた。
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