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情画
第3章 闇夜
そこはもう意識もなく、壊れた人形のようなのに、
乳房は縄で盛り上げられた以上に天に突き出ていて、
頂きもツンと高く尖っていた。そこはまだ意識を持って男を誘っている。

その双山の向こうに脚で出来た山がある。

写真には写っていないのに、その向こう側に男を誘う器官があって、本体の意志でなく、まだ蠢いて活動しているだろうことが想像された。


隣に反対側から取った写真がある。

太ももは飛沫で濡れてあちこちに水滴を纏って輝いていた。

中心にある渓谷は清水を溢れさせている。
うねうねと動き出しそうな花弁と、
その中心にある横穴が侵入者を待ち構えていた。

ソファーに筆が転がっている。その穂先は滅茶苦茶に広がり、役目を果たした男性器のように朽ち果てていた。

尖った乳房の真ん中に女の顎が突き出ている。
表情は見えない。
いや先ほど見た筈なのに、女が笑いながら、次なる侵入者を待っている表情が浮かぶのだ。

ぞっとするほどの美しさ。
自分がということでなく、この瞬間を作り出し、それが、残される。
その美しさは、沙絵さんの美しさそのものだった。


「ねぇ、いずみさん。
この対の写真にタイトルを付けるとしたら、なんてする?」

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