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星と僕たちのあいだに
第5章 それぞれの枕辺
 
バイパスの騒音が薄暗い部屋に低く響いていた。
車が通過するたびにステンドグラスが鈍く光をとどめ、屈折した複雑な色彩が部屋の壁に踊る。
二人は沈黙しあった。
ひとことでも発すると、取り返しのつかないことが起こりそうな気配があった。

早苗は身をこごめたまま、圭司を想いつづけていた。
打たれた頬よりも、はるかに強い痛みが体の奥底でうずく。

――――(圭ちゃん、圭ちゃん、けいちゃん……)

身の置きどころがなくなるほど、圭司が恋しくてたまらなくなった。
圭司の抱擁を心の底から欲した。
愛情に一点のくもりもない。
たとえ混乱を招いたとしても、想いを圭司に伝えなければ、このうずきは取りのぞけない。
心をたしかめて早苗はひじを立てた。

『並木……』

関係をとりなそうと前のめりに体を寄せてきた河村に、身を起こした早苗がうなだれたまま落ちついた声で言った。

『お願いだから、
 愛してるなんて、口にしないで』
 
早苗は静かに立ち上がり、服を着た。




 
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