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星と僕たちのあいだに
第6章 猫
みだりがわしい妄想の中で、早苗は浅黒い男の下に組み敷かれていた。
張りひらいた早苗の両脚のあいだで、不倫男は早苗を破壊せんばかりに激しく腰を振る。
男の腰がぶつかるたび、早苗の肉体は揺れて波をうった。
早苗は柳眉(りゅうび)を八の字に寄せ、味わってはならぬ快感に溺れていくような、それでいて、みずからの行為に同意を求めるような眼差しを圭司へ投じてくる。
―――――(俺に、どうしろってんだ)
圭司の手の中で膨張しきった肉塊は、激しく脈打ち、おびただしい量の白濁液を吐きだした。
邪淫な感情がしらけていくにつれ、それと入れ替わりに生じた悔恨(かいこん)が圭司の心をひどくふさぎ込ませた。
これまでにも圭司は、早苗を思い浮かべ自慰にふけったことが何度かあったが、これほど明瞭な罪悪感に痛んだことはなかった。
『サイテーだな』
吐き捨てるようにつぶやいて、胸のあたりをさすった。
さっきまで胸元に伏せていた早苗の、おくての生娘(きむすめ)が初めてのキスを待つような顔ばせがよみがえってくる。
早苗の頬の腫れは俺のせいなのだと、くやしさが圭司の胸にこみあげた。
何らかの思いをつのらせて、早苗はあの不倫男に抱かれてきたのだろう。
抱かれなければならなかった、早苗にそれを決断させたのが自分であることは、推しはかるに充分足る。
誰かに身を寄せずにはいられないほど早苗は弱り果てていた。
それなのに下心が邪魔をして、素直に抱きしめてやることさえできない自分はなんと情けない薄情な男であろう。
『ホント、俺は最低だよ』
ひとりごちて、ティッシュをくずかごへ投げた。