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星と僕たちのあいだに
第7章 迷子
『麻衣ちゃん、遅いわね』
用具を台車に積み終えた早苗が腰に手をあてて背伸びをし、ゴミ集積場の方を見やった。
『圭ちゃん待っててやれよ。
俺、先週から腰が痛くてさ、
早く寝ころびたいんだ。
早苗と先に荷物積んどくよ』
『ああ、悪いな。さき帰ってくれ。
俺待ってるわ。
それにしても、
迷うようなとこでもないんだけどな』
『あれそうじゃない?』
早苗が指さした先に、男の子を抱いた麻衣が職員と並んで歩いていた。
遠目であったが、髪型と着ているものからそれが麻衣だとわかった。
『あれ、子供よね』
不思議なものを見たというような言いかたで、早苗が言った。
『そうみたいだな。
なんで、子供だっこしてるんだろ』
三人は両手で額にひさしを作って夕陽をさえぎり、子供を抱いて芝生広場を歩く麻衣を目で追った。
『迷子じゃないかな』
麻衣らが向かう先に管理事務所の建物があるのを認め、渡瀬が言った。
『あぁ、たぶんそうだ』
圭司は麻衣をながめながら、小さな安堵を得たような気がした。