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星と僕たちのあいだに
第7章 迷子
 
不安が麻衣を急(せ)きたてていた。
周囲がさっきよりずっと暗くなったように感じ、灯りのすくない遊歩道を早足で歩いた。

どんなにふり払っても不安があとからあとから尾をひいて、ポキリポキリと麻衣の心を折っていく。
その場に座りこみそうになった。
そうして泣いてしまおうかと思った。
けれども噴水の前から圭司がいなくなるような気がして、気力をふりしぼり、前も見ず足元だけを見て歩いた。

レンガ敷きの遊歩道が上から下へと流れる視界に、スニーカーのつま先が交互に現われては消えていく。
くり出される自分のつま先が、けなげでかわいそうになってくる。
「圭司のところへ帰るんだ」と、足早に歩きながら何度もつぶやいていた。

大きな植え込みを過ぎて、足元が明るくなった。
噴水の脇にあるベンチに圭司が座っているのが見えたとき、もはや、麻衣は駆けだしていた。
眼から熱いものがあふれだし、目尻からこめかみへと流れ、途切れた。
いっときでも早く、圭司に抱きしめてもらいたかった。

駆けてくる麻衣に気づき、圭司は立ちあがって手をふった。

――――(なんだ? あいつ、全力疾走?)

かがめた顔の両脇に髪をふくらませ、たたんだヒジを懸命に振りながら走りくる、いつもと様子の違う麻衣に、圭司は腰を低くして手を広げた。

おそらく麻衣は、圭司のだいぶ手前から宙に浮いていた。
そして、身構えた圭司に飛びつくようにして体をあずけ、

¨行かないで!¨

心の中で叫んでいた。



 
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