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星と僕たちのあいだに
第7章 迷子
『麻衣は器の大きい人間だよな。
俺にはもったいないぐらいのイイ女だよ。
そういう人と一緒になれる俺は幸せ者だ』
『そんなにホメても何も出ないわ』
『あら、ご飯のおかず、増えたりしない?』
『お豆腐ぐらい、足してあげよっかな』
『なら充分、効果ありだな』
ふたりは笑い、麻衣は圭司の腕にいっそう体を寄せた。
『私に不満はないの?』
『不満ねぇ……』
圭司は無精ヒゲをなでながら考えた。
『思い浮かばないなぁ』
『そう? お色気とか、
私ダメじゃない?』
さもそれに自信がないといった口調で言い、真顔を向ける麻衣に圭司はおかしくなった。
『それ気にしてるの?』
『だって、
早苗さんとか見てると、
私なんて子供みたいだもん』
『色気にかけちゃ、
早苗をこえる女はなかなか居ないな』
『でしょう?
女の私から見ても
特別なオーラを感じるもの。
香水ふってなくても、
いっつもいい匂いするの』
麻衣はため息をついた。
残念そうに唇をむすんで眉を上げる、そんな麻衣がかわいらしくて、圭司は今すぐにでも茂みの奥で麻衣を抱いてしまおうかと思った。
ベッドでの麻衣は、恥ずかしさを取り払うまでに時間がかかることがあって、圭司が好む姿態をとれないこともあった。
それを圭司が無理じいすることがなかったのは、麻衣がみせる恥じらいや、快感にあらがう切なげな表情やしぐさが、圭司の男の根幹を十二分に満足させていたからである。
そして、ごくまれに羞恥のたがが外れると、そういったときの麻衣は、みずからの淫欲に支配され大胆なふるまいを観せることもある。
清楚の何たるかを無意識のうちにかもしておきながら、おカタい恥ずかしがり屋が性の快感に崩壊していくさまは、この上なく淫靡(いんび)なもので、圭司はその様子をながめ、性的な歓びにひたることができていたのだった。