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星と僕たちのあいだに
第7章 迷子
 
麻衣は、淫欲に支配される自分を、おろかで罪深い人間だと後ろめたく思うことがあった。
その根源をたどれば、幼くして覚えた自慰行為に帰結するものであることを彼女は充分承知していた。

淫欲への罪悪感がその所在を麻衣の中に明確にしたきっかけは、母の死であった。
麻衣の母は、麻衣が小学校を卒業する直前に他界した。
料理上手な、良妻賢母を絵にかいたような、美しい自慢の母であった。

教員をやめて小さな進学塾を経営し、教育者を自負していた麻衣の父は、妻がこの世を去って以後、特にきびしく麻衣を育てた。
年頃と呼ばれる年代にさしかかる麻衣が、母親のいない環境を理由に大きく道をはずすことのないよう、親の最低限の責務として麻衣のしつけに傾注した。
父親にとって麻衣は、亡き妻の形見であり最愛のひとり娘である。
片親で育つハンデによって、麻衣を人間的にすさませてはならないという思いが強くあったのだった。

麻衣は母が亡くなる一年前、抱き枕にしがみついた際、思いがけない快感に出くわした。
性の目覚めだった。
最初は異質なだけだったその感覚は、来たり来なかったりする不安定なものであったが、自室でこっそり試行錯誤を繰り返すうち、より的確な指づかいや姿勢を身につけた。

それからは何をも超えて、自慰の悦びにとっぷりとはまった。
快感と同時に運ばれてくる切なさの塊のようなものを味わいたくて、ひりつく気持ちを抱きしめながら一晩中いじり続けることもあった。
 
幼いながらに麻衣はそれが人前にさらせない、誰にも言ってはならないことと察していて、親に見つかれば叱責されるであろう、とてもイケないことなのだとわきまえていた。
それは、快感の質そのものに、ある種の邪(よこしま)な気配がおびているのを嗅ぎとっていたからであり、だからこそ、多感な少女のひとり遊びへの興味は過剰にふくらんだのである。



 
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