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星と僕たちのあいだに
第2章 優しい場所
早苗に招かれて麻衣が小屋へ顔を出すと、二十畳ほどの早苗のワンルームには彼女の私物やキングサイズのベッドが据えてあり、エマニエル夫人が足を組み替えそうな籐の椅子があった。
早苗は洗い立てのパジャマを麻衣の肩に合わせ、下着は好きなものを選んで、とタンスの抽斗(ひきだし)を指さした。
言われるままに抽斗をひいた麻衣が目をみはった。
そこには今まで麻衣が身につけたことのない、いったいどこを隠すのかという豪華で派手なショーツが泡だつように詰まっていたのだった。
『どうしよう。
私、こういうの
今までなかったから』
たじろいだ麻衣を見て、そうなの? と早苗が笑った。
『風邪ひくかも?
大丈夫だって。
さ、お風呂に入って
さっぱりしようよ』
麻衣は、中でも比較的おとなしめの黒いショーツを選んで、そっと抽斗を押した。
かげろうの羽のような薄い下着では、やはり風邪をひいてしまいそうな気がした。
¨風呂の小屋¨は、一年前に早苗が越してきたときに増築したのだと、脱衣所で服を脱ぎながら早苗が言った。
小屋には洗面台とトイレが併設してあって最新式の洗濯機が据えてあり、アルミ製の小さな勝手口の向こうが物干し場になっていた。
水まわりの改装費用を早苗が全額負担したことで、毎日の一番風呂は早苗と決まっていて、早苗の帰りが遅くなっても、圭司と渡瀬は先に入らないのだという。
『あたしが来るまでは、
あの二人ドラム缶にお湯張ってたのよ。
信じられる?
文明とか文化って言葉が頭に浮かんだわ。
脱衣所もなかったしね。
だから、あたし貯金はたいて
この¨小屋¨を新築したのよ』
圭司の知り合いに洋介という腕のいい大工がいて、儲けを考えず造ってくれたおかげで予算に余裕ができて、当時一番高級なシステムバスとトイレが据えられたのよ、と言いながら早苗はブラをはずした。