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星と僕たちのあいだに
第2章 優しい場所
『ここから遠くないところで、
仕事が見つかれば
いいんですけどね』
二日後には曲がりなりにも麻衣の居場所ができる。
そうすれば、少しは麻衣にも考える余裕ができるだろう。
ゆっくりやればいい、と圭司は安心した。
『早苗さんも、浩二さんも、
さっきのみなさんも、
圭司さんのまわりには
いい人たちばかり集まってて、
ホントにうらやましいです』
『俺が頼りないからだよ』
『そんなことないです。
圭司さんが頼られてるんです。
私もそうです。頼ってます』
『そう? 俺貧乏だし、
仕事も不安定で頼りないよ』
圭司はそう言って笑ったが、そんなことはない、と麻衣は思う。
お金なんて関係ない、何か人を惹きつけるものを圭司は持っている。
圭司に集まる人たちは、圭司のたなごころの中で幸福を感じている。
同じように私もこの男に惹かれている―――。
それに気づいた麻衣は、圭司と二人でいることが急に気恥ずかしくなった。
色白の自分の頬が熱をおびて朱くなるのがわかり、圭司に背をむけて荷物をかかえ、倉庫の邪魔にならないところへ積みなおした。
『頼りがいのある、いい人です』
圭司に聞こえないように小さくひとりごちた。