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星と僕たちのあいだに
第11章 夏の終わりに
 
ふぅん、と圭司は首をかしげた。

『そう? やっぱ俺かな。
 何の事情も知らない
 おやっさんが言うぐらいだから、
 俺が悪いんだろうな、きっとな』

そうだ、と断定し、修理工は厳しい顔つきでうなずいた。

『どんなあばずれ女だろうが
 器量の悪い女だろうが、
 悪いのはぜんぶ男さ。
 そんなのは大昔から決まってんだ。
 ぜんぶ男のせい。
 女は何にも悪くない。
 女のせいにする男は男じゃねぇ。
 人のせいにしないのが男なんだよ。
 男は腕力さずけてもらってんだ。
 力のつええのが
 弱いもんのせいにできるかよ。
 それこそ、みっともねぇ。

 かわいがられるためだけに、
 女は産まれてくるんだからよ。
 これっぽっちも
 女に背負わせちゃダメなんだ。

 男はそれだけ考えてりゃいい。
 それで世の中まぁるく収まんのさ』

圭司は、修理工の言葉に未熟者をいたわる手練(てだ)れの優しさを感じた。
結局のところ、男女関係の根幹を成すものは、修理工の言うようなものが裏打ちとなって成立しているような気がした。

『そうだな、そうだよ。
 俺もそう思う。
 俺が悪い。一件落着だね』

二人でくすくすと笑った。
実に巧いなぐさめ方だと圭司は思った。



 
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