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星と僕たちのあいだに
第4章 幸福の在りか
『圭司さん、ありがとう』
『こっちのセリフだよ。
麻衣に観てもらえて、
写真家として、すごく嬉しいよ』
麻衣はキスをせがみ、圭司はそれに応えた。
くちびるを重ねては抱きあい、離しては見つめあい、またくちづける。
何度も、何度も。
いいか? と問う圭司に、麻衣は、いくつでも、と答え、ふたりは小さな蒲団に沈んだ。
『いくつでも』
その言葉通り、幾度かの圭司の求めに麻衣は従順に体をさらした。
もともと圭司は性的に淡泊といえるタイプだったが、麻衣の根っからの可愛げと肉質が、その夜、圭司をやさしい獣に変えた。
古宿のうすい壁は、麻衣に放心のあえぎ声を許さない。
指を噛み、息をころして静かにもだえる麻衣の姿に、圭司は体じゅうの血を煮立たせた。
圭司の腹の下でよじれる麻衣は、切なく恥じらい、いやしく求める。
そのすべてが圭司を虜にしていく。
男であれば、欲しがる女にかつての男との肉交を想像するものであるが、ときおり圭司の胸をかすめる嫉妬さえも麻衣をつらぬく力になった。
どんな恰好が好きなのかと耳打ちしあい、圭司は、麻衣にメス猫が伸びをするような姿態をとらせたい、麻衣は身をたたんで圭司の肩へ足を掛けたのがいいと、それぞれの求めをかなえあった。
顔から火が出るような淫らな姿勢であっても、結局麻衣は泣きださんばかりに悶え、のたうち、辛抱たまらずひと声あげては唇を噛んだ。
二つ折れにたたまれた状態で、真上から振り下ろされる男性器に最奥を突きあげられ、苦しげに眉を寄せて食いしばるのに、それでもなお突いて欲しいと抱きついて、奥へ奥へと圭司をせがんだ。
欲しがる麻衣と視線をからめあわせながら、いつまでもこうしていたいと圭司は思った。
麻衣の求めにこたえ、息の続くかぎり麻衣をつらぬき続けることが、欲望だけではない、なにかとても意義深い行為のような気がしてならなかった。
だから圭司はまじめにやった。
全身全霊をかたむけ、持てる力のすべてを尽くして何度も何度も麻衣を刺しつらぬいた。
冴えわたる月は高く、頭上の星々はいっそう輝きを増している。
夜を通して愛しあう二人の熱気は、せまい和室のガラス窓を結露させ、あまたの星のまたたきを露ににじませる。