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星と僕たちのあいだに
第5章 それぞれの枕辺
 
快楽の渦の中で、圭司の呼ぶ声が麻衣に聞こえた。
うっすらと耳の奥に響く圭司の声に応えようとするも、麻衣は烈しく揺さぶられ、開いた喉がぶれて声にならない。

『あぐっ、はぁぐっ……』

麻衣は口を開け、必死で空気を取り込みながら、心の中で叫び続けた。

――――(私も……!愛してる……!)

応えたい。圭司に愛していると伝えたい。
言葉にできないもどかしさがつらくて、声もなく泣いた。
愛していると、大声で言いたかった。

真剣で小細工のない打撃が、一途に麻衣の核心を打ちつづける。
壊れる、と麻衣は思った。このまま打たれて自分は壊れるのだと。
怖がってはいなかった。
そうしたいと圭司が望むのなら、むしろバラバラに壊されたいくらいだった。

打ちふられる調子がどんどん速くなり極限まで速まったとき、刹那の空白をへだてて、ずどんっ、と打ち込まれた。
麻衣の視界が大きく揺れる。
これまでとは違う大きさの衝撃が子宮をつらぬいて脳天に達した。

――――(こわれるっ……!)

瞬間、張りつめた快のかたまりが麻衣の胎内で破裂した。
五感をこえた不可視の一片に純度の高い快楽が到達する。
見ひらいた麻衣の眼が、一瞬、斜視気味に宙をおよいだ。

『んあぁっ!!』

麻衣の叫び声が深閑とした倉庫の冷気をふるわせた。
凄まじい快感が呼吸を奪う。
麻衣は身を反り返らせて圭司を締めあげ、生まれたての小鹿のように短いけいれんを繰り返した。

気が遠のいていく――――。
圭司のうめく声が耳元にこぼれてくる――――。

意識が薄れゆくさなか、麻衣は、膣で脈動する圭司をはっきりと感じた。





 
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