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星と僕たちのあいだに
第5章 それぞれの枕辺
 
あれこれ着せ替えて十点ほどのアイテムを撮りおえた頃、窓の外はすでに真っ暗になっていた。

機材を片づける圭司の視界の端に、スタジオのすみで中年男性と話す早苗の姿があった。
風采のよいダークスーツの中年男性は、体を預けるように壁に左肩をあてて立ち、早苗は腕組みをしてかかとに体重をのせ、つま先を上げ下げしながらうなずいたり、ときおり髪をかき上げて中年男性に難しい表情を見せたりしている。

親しげな二人の雰囲気は、一般的な上司と部下の関係をこえたものが、特に男の方にあった。

――――(不倫野郎……)

圭司は直感した。
そして二人にさもしい印象を抱いた。

中年男性の髪に塗られた整髪料や、手入れの行き届いたやけにつま先の尖ったピカピカの革靴が、妙に圭司をイラ立たせた。
そういったもののひとつひとつが、早苗のカラダの上を這いまわらんとする、この男の本当の目的をカムフラージュしているように見えるのだ。

男は、早苗からなにかを引き出そうとするように、ときどき早苗の肩へ手をかけて眉を上下させる。
よく動く男の眉にもイラついたが、圭司が気に入らないのは、男のなれなれしさよりも、それに対してあいまいな態度をとる早苗が、普段よりいっそう女らしさにあふれていることだった。

――――(ったく、妻子持ちに遊ばれてどうすんだよ)

圭司は、『並木さぁーん』と、誰にも無視できないぐらいの大きい声で早苗を呼びつけた。

壁際で話す二人はそれに気づき、巣穴から顔をだしたミーアキャットのように背筋を伸ばして声の出どころを探した。
呼んだのが圭司だとわかると、男はそれまで浮かべていた表情を消して、バツが悪そうにズボンのポケットへ手を入れた。


 
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