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隷従超鋼ヴァギナス [2] 調教編
第1章 月神太陽
「ハハ……ま、とにかくユノーは君に任せた。ボクはユピテルで頑張るからさ……」

(ユノー? ユピテル? そういえばさっきもヴァギナス・ユピテルって)

 初めて聞く言葉だ。ついでに軌道修正のチャンスでもある。

「あの……ユノーとかユピテルってなんですか?」
「あれっ、そうか、まだ機密事項だったのかな……いっけね! でも君も多分すぐに教えてもらえるよ。ユピテルってのはヴァギナス二号機の名前さ」
「二号機……」
「極秘で建造中なんだ。それで識別名がつけられることになったってわけ。君の一号機はユノーと呼ばれることになる。ヴァギナス・ユノーだね」
「ユノーとユピテル……。小惑星と木星の名前ですね」

 意外な知識の披露に、太陽がへえ、と目を丸くする。

「あっ……父が理科系の教師だったので、小さいころから星のこととか教えてもらって……多少は詳しいんです」

 得意分野、来たあ!
 脳内の天使が滝涙でガッツポーズ。
 落ち着きを取り戻したケイは手にしていたコーヒーのカップを口に運びながら、少し澄ました口調になる。

「でも、多分、星の名前からじゃなくて、神様の名前からつけたんだと思います」
「神様の?」
「ええ、ユピテルはローマ神話に登場する主神。そしてユノーはその……」

(妻……!)

 ユピテルに乗る太陽と、ユノーに乗る自分。名前に隠された暗示に気づいてコーヒーを吹き零しそうになる。

「つっ……つまぶふっ」
「大丈夫かい? あの自販機、いつも熱くしすぎるんだよ」

(ああ、死にたい……)

 みっともなさすぎる。涙がちょちょ切れるとはこのことだろう。恥ずかしさやら悔しさやらで目が潤む。

 そこで太陽の持っていたアラームがピーピーと鳴り出した。
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