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隷従超鋼ヴァギナス [2] 調教編
第1章 月神太陽
 最近、自分の体がますます女らしくなってきていることについて、ケイにも自覚はあった。それは少女が大人の女になっていく、年相応の性徴変化なのかもしれないが、原因はそればかりとは思えなかった。

(あんな訓練ばかりしているからかも)

 思い出しただけで赤面してしまう。毎日欠かさずに続けられる、淫らなトレーニング。そして、乱れる自分の嬌態。ヴァギナスのパイロットであることは妹にも伝えていたが。その訓練がどのようなものかは隠していた。

「それじゃいってきまーす!」

 スカートを翻し、英瑠が玄関から元気よく飛び出していった。

「いってらっしゃい! 車に……」

 気をつけるのよ、と言いかけて言葉を呑み込む。居住区には車など走っていない。馴れたようでも、こうして時々昔の生活の名残が出てしまう。

 そもそも、侵略者たちの機械兵団に狩りたてられ、逃げ惑って過ごした二年間は、出掛けるときの挨拶の習慣など忘れていた。再びこのような呑気な言葉を交わせる日が来るとは思ってもいなかった。

 泣いてばかりだった妹に笑顔が戻ったのもケイにとって嬉しいことだった。行方不明のままの父、そして母とのつらい別れ。
その悲しみを姉妹二人が乗り越えて今生きていられるのは全てあの巨大ロボット、隷従超鋼をまとった巨人兵器ヴァギナスのおかげだ。

 そしてそのパイロットとなったケイは知っていた。人類の未来は、まだ少女と言ってもおかしくない年齢の、自分のか細い双肩に託されているのだと。

 そう思えばどんなことにも耐えることができると思うのだ。

 それが、例えあのような恥ずかしいことであっても。
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