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隷従超鋼ヴァギナス [2] 調教編
第5章 勝利とカボチャ
 ケイは支配の意志を失わない。ひとつになるのだ。この身を苛む官能も、家族を奪われた怒りも、隷従の哀しみも、悦びも。あらゆる感情が爆発し、超鋼の元素構造を拘束する。

 振り落とそうするのをやめて、巨獣が機械の肉を閉じはじめた。開いたカボチャが身を狭め、ヴァギナスの機体を挟み込み、圧し潰そうと牙を立てる。

 グイと腰をつきだし、ケイは深々とオーガズマイザーに身を沈めた。

「ああっ……はああああっ! 負ける……もんですかあっ!」

(従わせる……従うッ! それは表裏一体! 融かせ、私の肉体!)

 子宮口に熱い鋼鉄を突き込ませ、電流のような快感の爆発を起こす。

((((あああああああああああああああああああああああっ!」」」」

 思念が絶叫となって迸る。イイ! 気持ちいい! イクッ! 果てる! 絶頂の時の刻! ヴァギナスもまた、揺さぶる子宮の収縮に金属組織を淫猥に律動させ、喜悦の咆哮を上げる。

(私はあなた。あなたは私……イこう、いっしょに……!)

「イッ……はあああっ……ああっ……うあああああっ……はあんっ! イクッ……イクイクッ! イキなさいっ! イイッ……わあああっ! ヴァギナスッ・エクスタシーヒート!」

 絶頂感を解き放つ。隷従解放!

 ボアッシュアアッ!

 がっしと巨獣を掴んだ鋼の掌が白熱した。掌だけではない、全身が超高温度発熱していた。

 ジュアアアアアアッ!

 カボチャが断末魔の叫びを轟かせる。
 その動きがついに停止されたとき、どろどろに溶かされたグロテスクな機械肉の真ん中で、ヴァギナスは傷ひとつなく甲冑装甲を輝かせ、戦女神のようなその姿を屹立させていた。

《マスターのオーガズムを認識。ヴァギナス、スレイブ・アウトします》

 ナビと共にモニタの《接続中》の文字がゆっくりと点滅を始める。
 果てた余韻の中でケイは呟いた。

「悪いけど……カボチャは好物なのよね。それがあなたの……」

 あれ? 

 このセリフ……いまいちキマらないかも!

「……敗因よ!」

 テレビのヒーローみたいな格好良い事、言ってみたかったんだけど!

 ヴァギナス機関の輸送ヘリによって救助者たちと共に回収される。

 無事に潜水都市に戻ったケイを待っていたのはスミレの手料理。しかも、地下栽培されたカボチャの煮物だった。

 それは、とてもおいしかった。
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