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隷従超鋼ヴァギナス [3] 浸蝕編
第6章 崩壊
英瑠が近づいた時、バンの助手席のスモークウィンドウがスルスルと降りた。そこに現れた見知った顔に、英瑠の顔がほころぶ。
「スミレちん!」
姉の同僚で、よく英瑠もいっしょに食事に招いてくれる。優しくて、明るくて、にぎやかなのが好きな人。
だが、スミレの表情はどこか妙だった。緊張しているような、困惑しているようなその顔は、いつものスミレらしくない。
「え、英瑠ちゃん……」
「どしたの……もしかしてお姉ちゃんに何かあった?」
「いいえ、お姉ちゃんには何も……」
「じゃあどうしたの? 何かおかしいよ、スミレちん……」
「英瑠ちゃんっ……逃げてっ!」
「へっ?」
いきなり叫ばれて目を丸くする英瑠の前で、勢いよくバンの扉が開いた。
「キャアッ!」
中から飛び出してきた男が英瑠の体を掴んでバンの中へと引きずり込む。
「いやああああっ! 放してっ! なにこれえっ!」
「うるせえクソガキ! おいっ黙らせろ!」
運転席にも見知らぬ男。その男に言われて、英瑠を引き込んだ後部座席の男の腕に力が籠る。
助手席でスミレが叫ぶ。
「やめてっ! こんな子供まで!」
「うるせえっ! テメエ、裏切りやがって!」
「裏切ってなんか……」
「黙れッ!」
運転席の男がスミレを平手で張り飛ばす。
「おいっ……いいから早く出せ!」
急発進したバンが姿を消した後、その場には英瑠の鞄から飛び散った勉強道具が残るばかりとなった。
「スミレちん!」
姉の同僚で、よく英瑠もいっしょに食事に招いてくれる。優しくて、明るくて、にぎやかなのが好きな人。
だが、スミレの表情はどこか妙だった。緊張しているような、困惑しているようなその顔は、いつものスミレらしくない。
「え、英瑠ちゃん……」
「どしたの……もしかしてお姉ちゃんに何かあった?」
「いいえ、お姉ちゃんには何も……」
「じゃあどうしたの? 何かおかしいよ、スミレちん……」
「英瑠ちゃんっ……逃げてっ!」
「へっ?」
いきなり叫ばれて目を丸くする英瑠の前で、勢いよくバンの扉が開いた。
「キャアッ!」
中から飛び出してきた男が英瑠の体を掴んでバンの中へと引きずり込む。
「いやああああっ! 放してっ! なにこれえっ!」
「うるせえクソガキ! おいっ黙らせろ!」
運転席にも見知らぬ男。その男に言われて、英瑠を引き込んだ後部座席の男の腕に力が籠る。
助手席でスミレが叫ぶ。
「やめてっ! こんな子供まで!」
「うるせえっ! テメエ、裏切りやがって!」
「裏切ってなんか……」
「黙れッ!」
運転席の男がスミレを平手で張り飛ばす。
「おいっ……いいから早く出せ!」
急発進したバンが姿を消した後、その場には英瑠の鞄から飛び散った勉強道具が残るばかりとなった。