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隷従超鋼ヴァギナス [3] 浸蝕編
第6章 崩壊
    ※    ※    ※

 デッキもまた銀色ムカデの群れの大洪水に覆われていた。
 ヴァギナスの機体に群がる蟲たちを、ユリカの一喝が弾き飛ばす。

「ウ……ガアアアアアアッ!」

 その隙にスミレが走る。

「強制昇降装置を起動します!」

 海面までハンガーを上昇させることができるリフト機構だ。

「英瑠……スミレさんについていて……お姉ちゃんはヴァギナスで……」
「おっ……お姉ぢゃん」

 しゃくり上げながら英瑠がケイの腕を掴んだ。

「今日のこと……ご免なさい……わ、私の……わだじのぜいで……お、お姉ぢゃんまで……」

 大きな瞳から涙が溢れ出す。
 ケイは英瑠を抱きしめた。

「違うよ、英瑠……お姉ちゃんがいけなかったの……もっとあなたのことを守ってあげなきゃいけなかった」

 自動警報がリフトの作動を告げる。

――ハンガーリフト作動……作業員は危険エリアから離れて下さい。繰り返します。ハンガーリフト作動……

 ゴ……ゴゴゴ……

 デッキが上昇を始める。切り離されていく外部エリアに立ったまま、ユリカが抱き合う姉妹を見上げていた。

 ケイは頷く。

(ユリカさん……私、戦います……)

 人類のために。そして、この腕の中の小さな温もりを守るために。

「スミレさんっ! ウォーターシューター、ここから作動できますか!」
「えっ……作動は……できると思うけれど……でも、この深度からでは」
「大丈夫です。強化改造してありますから!
「きょ、強化改造? で、でも……」
「お願いします! このままじゃ基地がもちません!」
「わ、わかったわ!」

 ケイは最後に妹をぎゅっと抱きしめると、ヴァギナスに駆け上り、ハッチを開いた。

「英瑠! お姉ちゃん、行ってくるからねっ!」
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