この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
母娘
第1章
ひときわ大きな声を上げた。
でも、誰に聞かれる心配もなかった。
母屋には二人しかいなかった。
離れに義祖母がいるが、この部屋からは大分距離がある。
そこにはトイレも浴室も付いている。
通常、義祖母は離れから食事のとき以外は出ない。
窓も開けっ放しだが、隣家は百メートルも先だ。
鈴花の実家は、大通りから小道を登った斜面を切り開いた土地に建っていた。
広大な敷地だ。
その周りの斜面には太い杉が密集して立ち並び、山の奥まで広がっていた。
そこに建つ家は、屋敷といってもいいかもしれない。
古い重厚な造りの日本家屋だ。
ただ当主はいない。
多分今は、義祖母がそれだろう。
鈴花の家は代々大地主だ。
方々に土地を持ち、方々に貸している。
このここ一帯の山林もこの家のものだ。
中には老舗のデパートが建っている土地もあるという。
そして何の因果か、代々女系の家系なのだ。
もう百年以上も男子が生まれていない。
だから代々女当主らは婿養子をとっている。
でも、誰に聞かれる心配もなかった。
母屋には二人しかいなかった。
離れに義祖母がいるが、この部屋からは大分距離がある。
そこにはトイレも浴室も付いている。
通常、義祖母は離れから食事のとき以外は出ない。
窓も開けっ放しだが、隣家は百メートルも先だ。
鈴花の実家は、大通りから小道を登った斜面を切り開いた土地に建っていた。
広大な敷地だ。
その周りの斜面には太い杉が密集して立ち並び、山の奥まで広がっていた。
そこに建つ家は、屋敷といってもいいかもしれない。
古い重厚な造りの日本家屋だ。
ただ当主はいない。
多分今は、義祖母がそれだろう。
鈴花の家は代々大地主だ。
方々に土地を持ち、方々に貸している。
このここ一帯の山林もこの家のものだ。
中には老舗のデパートが建っている土地もあるという。
そして何の因果か、代々女系の家系なのだ。
もう百年以上も男子が生まれていない。
だから代々女当主らは婿養子をとっている。