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パラダイスパレスの淫らな晩餐
第3章 エヌフィーヌ
「エヌフィーヌさん、最初に食べるのはやはり貴女からでしょう」

 少年が指を鳴らすと、厨房から巨大なテーブルがのそりと姿を現した。それを運んでいるのはあの執事だった。少年と同様に巨大化している。

(くっ……仲間だったのね……完全な罠だったわ。どうにかしないと!)

 しかし、食前酒に盛られた麻痺成分とやらのせいだろうか、身体は思うように動いてくれないし、魔力を集中させて呪文を使うこともできない。そんな八方ふさがりのエヌフィーヌを、少年はひょいと掴んでテーブルの上に持ち上げ、執事が用意した巨大な白い皿に乗せる。

「やめろおっ! 貴様ら、エヌフィーヌに何を……」
「キオさん、あなたはもうしばらくお待ちくださいね」

 そう言って少年はキオをつまみ上げ、これも執事が持って来たパンの盛られた巨大バスケットの中に放り込んだ。ついでに千切ったパンの欠片を喚くキオの口に詰め込む。

「ほぐっ……もぐおっ……もごう!」
「さて……と」

 少年がエヌフィーヌに目を落す。

 エヌフィーヌが乗せられた皿の両脇には、巨人サイズのナイフとフォークがずらりと並べられ、準備万端整えられていた。

「美食……という言葉がありますが、エヌフィーヌさん、まさに貴女のためにあるような言葉だ。こんなに美しい食材を他に見たことはありません」

 白い陶の丸皿に、横たえられたエヌフィーヌの色鮮やかなローブが映える。エヌフィーヌは逃げ出そうともがくが、足腰に全く力が入らず、身を起こすことすらままならない。

「ああっ……くっ……うっ……う……」
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