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透明犯罪捜査官 美荻野凛々香の非日常
第5章 ―美荻野凛々香の非日常―
「お前……兄を取り返したくて、美荻野凛々香を陥れるのに協力したんじゃなかったのか?」

 ズボンの上から肉棒を扱かれるのを止めもせず、かといって特別な反応も見せずに拓が問う。

「んふっ……そうよ。あたしのお兄ちゃんを奪ったあの泥棒猫女を追い払うためにね……ウフッ。でもね、あたし……お兄ちゃんが好きっていうか……」

 ジッパーが降ろされる。ブリーフの中からそそりたつ肉の塔。春奈の口がその屋根をすっぽりと包み込む。

ちゅぴ……ちょるっ……ちゅるる

暫く部屋の中には淫らな口の音だけとなった。

「んぐっ……ンッ……ンンッ……素敵……もうこんなに逞しくして……」

 拓の顔は禁欲的な表情を保ったままだ。春名はそれを見上げて満足気に目を細めた。

「あたし、弱い男が好きなの……お兄ちゃんもそう、そして貴方も……」

 じゅぷっ……ぢゅっ……ぷっ……ぷぶっ……ぢゅううっ……

 春名の口が吸引を強めてゆく。

(弱い男か……確かにそうだ)

 拓は目を閉じた。思い浮かぶのは、美荻野凛々香の寝顔。天使のような、何の罪も持たぬ美しき顔。

(俺が汚した。俺の弱さが)

「う……くっ……」

 春名の舌使いに、拓がついに声を漏らしてみせた。


《了》
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