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愛玩男奴 お兄ちゃん
第3章 丈を調教なさい
 そう言われて初めて私はこの「調教」が行きつく先のことに思い至った。いったいどこまで「してしまう」んだろう。私は……私はどこまで覚悟しているんだろう。玲子さんの元で調教師になるって決意をしたくせに、具体的な心構えを全然していなかったことに気づかされる。

 おへそにつきそうなぐらいピンと張って息づく丈さんのそれ。「生き物」を感じさせる、普段は目にしない異性の器官。触ってくれと言わんばかりのその突起。蝶が花にとまるように、私の手が自然に先端へと伸びる。

「ふ、うっ……」

 触れた瞬間、丈さんが体を震わせる。今度は私も予期していた。

「辱めて……」

 どうすればいいだろう。ぎゅっと握りしめてみる。

「痛っ……」

「あ……ごめんなさい!」

「謝らないで」

 丈さんが切なげな表情のまま無理に笑顔を作って言う。

「つぐみちゃんは……ひとりエッチ、したことある?」

 奴隷じゃない言葉でされた突然の質問に。心臓が止まりそうになる。
 なんて答えよう。多分、これまでのどんなことよりドキドキしていた。

「……ありません」

 嘘を吐いた。でも、丈さんは疑うふうもなく言葉を続ける。

「男のこれも、女の人のと同じだよ。優しく触ってあげないといけないんだ。握るときは力を込めずに包み込むようにするといい」

「はい……ありがとうございます」

 奴隷に教えてもらってお礼を言うご主人様。初心者マークつきなんだから仕方ないけれど。

 私は親指と人差し指で輪っかをつくると、その中に丈さんをすっぽりと収めた。

「そう……それぐらいの力加減」

 譬えるなら、それは手の中の雪を崩さないぐらいの力。男の人でも同じ、ということがよくわかった。私の、あのときと同じぐらいの力加減でいいんだ。優しく、愛おしむ気持ちのときの力だ。
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