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愛玩男奴 お兄ちゃん
第1章 男奴の館
玲子さんが私たちの家を訪れたのはそんなときだった。
美青年の運転手さんにドアを開けられて白いリムジンから姿を現した玲子さん。その登場シーンは本当に「登場シーン」のようだった。差し伸べられた運転手さんの腕に優雅にエスコートされて高級車から降り立つ上品でフォーマルな装い。そして大人の女性の完璧なプロポーション。
ハリウッドスターがアカデミー賞の会場と間違えて家に来たのか、それとも私たちが知らない間に家が会場になっていたのか。思わずそう思ったぐらいだ。
「菱崎玲子と申します。生前、お父様にはお世話になっておりました」
応接間に通された玲子さんはそう言った。なんでも、パパの研究の手伝いや、資金援助をしていたそうだ。資金援助――そう聞いてお兄ちゃんの顔が強張る。
「もし父の借金の話でしたら――」
「いいえ、違います。借金取りかとご心配なら、安心して」
そう言って玲子さんは微笑んだ。お兄ちゃんと私の緊張がふ、と和らぐ。
「確かにお父様には研究資金をお出ししていました、お父様は研究の成果が出た暁には必ず返す、と。でもそれは義理堅いお父様がおっしゃっていただけで、私としてはただの援助。それも利益を見込んでのではなく、純粋にお父様の研究を応援してのものでしたから」
「父は……いったい何を研究していたのですか? 遺伝子工学の研究ということしか知らなくて」
「そうね、私も詳しく知っているわけじゃないけれど、私のビジネスとの関係で、ね。研究に使う材料なんかを提供させていただいていたの。あと、他にもいろいろ」
「ビジネスって……」
お兄ちゃんがそう尋ねると、玲子さんはちょっと躊躇するような表情を見せた。でも、すぐに答えてくれた。
「……私は調教師です」
「え……と、馬とかの、ですか?」
「そう。その調教師。でも、私が調教するのは人間の男の子。ビジネスというのはそうやって調教した男の子たちを売ること」
「そ、それって……」
「カタギな仕事ではないわね。合法でもない。未成年のあなたたちに言うような仕事ではないわ。ダメね、今日はその話をするつもりで来たのに、いざとなると口にするべきか迷ってしまって」
「それは一体どういう……」
お兄ちゃんの顔がまた曇り始める。
美青年の運転手さんにドアを開けられて白いリムジンから姿を現した玲子さん。その登場シーンは本当に「登場シーン」のようだった。差し伸べられた運転手さんの腕に優雅にエスコートされて高級車から降り立つ上品でフォーマルな装い。そして大人の女性の完璧なプロポーション。
ハリウッドスターがアカデミー賞の会場と間違えて家に来たのか、それとも私たちが知らない間に家が会場になっていたのか。思わずそう思ったぐらいだ。
「菱崎玲子と申します。生前、お父様にはお世話になっておりました」
応接間に通された玲子さんはそう言った。なんでも、パパの研究の手伝いや、資金援助をしていたそうだ。資金援助――そう聞いてお兄ちゃんの顔が強張る。
「もし父の借金の話でしたら――」
「いいえ、違います。借金取りかとご心配なら、安心して」
そう言って玲子さんは微笑んだ。お兄ちゃんと私の緊張がふ、と和らぐ。
「確かにお父様には研究資金をお出ししていました、お父様は研究の成果が出た暁には必ず返す、と。でもそれは義理堅いお父様がおっしゃっていただけで、私としてはただの援助。それも利益を見込んでのではなく、純粋にお父様の研究を応援してのものでしたから」
「父は……いったい何を研究していたのですか? 遺伝子工学の研究ということしか知らなくて」
「そうね、私も詳しく知っているわけじゃないけれど、私のビジネスとの関係で、ね。研究に使う材料なんかを提供させていただいていたの。あと、他にもいろいろ」
「ビジネスって……」
お兄ちゃんがそう尋ねると、玲子さんはちょっと躊躇するような表情を見せた。でも、すぐに答えてくれた。
「……私は調教師です」
「え……と、馬とかの、ですか?」
「そう。その調教師。でも、私が調教するのは人間の男の子。ビジネスというのはそうやって調教した男の子たちを売ること」
「そ、それって……」
「カタギな仕事ではないわね。合法でもない。未成年のあなたたちに言うような仕事ではないわ。ダメね、今日はその話をするつもりで来たのに、いざとなると口にするべきか迷ってしまって」
「それは一体どういう……」
お兄ちゃんの顔がまた曇り始める。