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愛玩男奴 お兄ちゃん
第5章 こんなの嫌だ……
「誰……?」

 しばらく返事がなかった。私の問いかけがどこかに吸い込まれて消えてしまったように感じたとき、ようやく答えが返ってきた。

「……あいる」

「あいる? それがあなたの名前?」

 そういえば、さっきこの部屋に押し込まれた時、ドアのプレートに「愛留」という二文字があったような。では、この子はこの部屋で飼われている男奴なのか。

「愛留……君?」

 声から感じる印象で、愛留ちゃんと一瞬呼んでしまいそうになったが、考え直して「君」にした。

 今度の返事は早かった。

「愛留とおよびください。ごしゅじんさま……」

 そう言う様に躾けられているのだろうか。たとたどしいけれど迷いの感じられない即答に、私はそう思った。

「どこ……?」

 じゃらり、と鎖の音。そして、私の頬に温かい感触。小さな指が私の涙の痕をなぞる。

「泣いてる?」

 同じ質問。

「う、ううん。もう泣いてないよ」

「泣かないで、ごしゅじんさま」

 あどけないの私をいたわる言葉。でも、それが胸に痛かった。この子もこんなことを言うように教育されてしまっているんだ。さっきのお兄ちゃんへの調教の記憶が生々しく甦る。

「うっ……ううっ」

 私の口から嗚咽が漏れる。

「泣かないで、ごしゅじんさま」

 駄目……。そんなこと言われたら、泣かずにはいられなくなってしまう。

「……愛留のおちんちん、する?」

 やめて!
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