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愛玩男奴 お兄ちゃん
第1章 男奴の館
その言葉の意味を理解するのに、私は少し時間がかかった。でも、じわじわと玲子さんの真意がわかるにつれ、胸の奥に熱い物が込み上がる。
そうだ。玲子さんの言う通りだ。私たちは傷ついていたんだ。慌ただしく起きた色々なことのせいで、そんなことにすら気づいていなかった。
「だから、お父様を信じてあげなくちゃいけない」
目じりに温かい物を感じて、自分の涙だと認めた時には、もうそれは私の頬を濡らしていた。
男の子を調教して売る――まともな仕事ではないことをしている人なのに、今度の事件があってから私たちに声をかけてくれた他の誰のものよりも真心のこもった言葉。
「用はそれだけ。それじゃあ、私はこれで」
そう言って玲子さんが立ち上がる。
「待ってください!」
引き留めたのはお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんはテーブルに残された契約書を見つめていた。
「ここにある金額、一億で間違ってないですか」
契約書には難しい漢字で金額が書かれている。
「そうよ。でも気にしないで、その契約書は捨てていいから」
「つまり、俺――僕には一億の価値があるってことですか?」
私の背筋に冷たいものが走った。お兄ちゃんの声色は尋常じゃなかった。覚悟を決めたような――取り返しのつかない何かを決意した声だ。
「そうだけど、それは――」
「俺を男奴として買ってください!」
「お兄ちゃん!」
そうだ。玲子さんの言う通りだ。私たちは傷ついていたんだ。慌ただしく起きた色々なことのせいで、そんなことにすら気づいていなかった。
「だから、お父様を信じてあげなくちゃいけない」
目じりに温かい物を感じて、自分の涙だと認めた時には、もうそれは私の頬を濡らしていた。
男の子を調教して売る――まともな仕事ではないことをしている人なのに、今度の事件があってから私たちに声をかけてくれた他の誰のものよりも真心のこもった言葉。
「用はそれだけ。それじゃあ、私はこれで」
そう言って玲子さんが立ち上がる。
「待ってください!」
引き留めたのはお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんはテーブルに残された契約書を見つめていた。
「ここにある金額、一億で間違ってないですか」
契約書には難しい漢字で金額が書かれている。
「そうよ。でも気にしないで、その契約書は捨てていいから」
「つまり、俺――僕には一億の価値があるってことですか?」
私の背筋に冷たいものが走った。お兄ちゃんの声色は尋常じゃなかった。覚悟を決めたような――取り返しのつかない何かを決意した声だ。
「そうだけど、それは――」
「俺を男奴として買ってください!」
「お兄ちゃん!」