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虹色の楽譜
第2章 橙
「ありがとうございます。でもこんな恰好ですし」
奏くんの知り合いだろうと、それはあまりにも
ずうずうしいだろうと、慌てて断れば
「いいえ。是非。奏とは昔からの知り合いなんですよ。
奏の実家と俺の家がとなりなんです。
奏が連れてきたお嬢さんを食事もさせないで帰せない。
どうぞ。1番前の席を用意しますよ」
オーナーのその言葉に
「店は暗くなるから。恰好は平気だよ」
と奏くんが促した。
店内が暗くなって開店する。
予約していただろうお客さんが来店して
お店の営業が回り始める。
少しして奏くんの演奏が始まった。
真っ黒のスーツに着替えた奏くんは
この店内でのイメージと
そのピアノを制圧する雰囲気でとてもハタチには見えない。
少しして、オーナーが
私のテーブル席に座った。
「今日はお会いできてよかった」
オーナーの視線は私ではなく奏くんに向いていた。
「ここ2回ばかり、お店に来ていただいてますね?」
何・・・?調査?
少し、怪訝な顔をすれば
「あ。気分を悪くしたなら失礼。
奏の演奏が2回ほどとても良かった、と常連から聞いていたもので」
良かった?
「ボーイに確かめたらその2回ともあなたが来ていた」
「・・・・」
「どうやら奏の演奏は、あなたで変わるようです―――」
奏くんの知り合いだろうと、それはあまりにも
ずうずうしいだろうと、慌てて断れば
「いいえ。是非。奏とは昔からの知り合いなんですよ。
奏の実家と俺の家がとなりなんです。
奏が連れてきたお嬢さんを食事もさせないで帰せない。
どうぞ。1番前の席を用意しますよ」
オーナーのその言葉に
「店は暗くなるから。恰好は平気だよ」
と奏くんが促した。
店内が暗くなって開店する。
予約していただろうお客さんが来店して
お店の営業が回り始める。
少しして奏くんの演奏が始まった。
真っ黒のスーツに着替えた奏くんは
この店内でのイメージと
そのピアノを制圧する雰囲気でとてもハタチには見えない。
少しして、オーナーが
私のテーブル席に座った。
「今日はお会いできてよかった」
オーナーの視線は私ではなく奏くんに向いていた。
「ここ2回ばかり、お店に来ていただいてますね?」
何・・・?調査?
少し、怪訝な顔をすれば
「あ。気分を悪くしたなら失礼。
奏の演奏が2回ほどとても良かった、と常連から聞いていたもので」
良かった?
「ボーイに確かめたらその2回ともあなたが来ていた」
「・・・・」
「どうやら奏の演奏は、あなたで変わるようです―――」