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虹色の楽譜
第3章 黄
「奏の演奏が変わったのはこの人のおかげかな。って
話していたところだ」

「俺の演奏が変わった?」

私の前とは違って、子供っぽい面を隠そうともしない。
このオーナーとは長い付き合いなのかな。

「自分で気が付いていないのか?」
「・・・・・」
「この人の前だと、奏の演奏は楽しそうだよ」
「・・・・・」

兄のような目で奏くんを見つめていた。

「俺はいいことだと思うよ。
奏もハタチだろ?女の子と遊びたいよな」

クッと飲んだそれはお水だろうか?

「・・・・・」
「監視するためにここで弾かせている訳じゃない」
「・・・・」

「奏。自由にして良いんだ。
お前の好きなようにしていいんだよ」

話の内容は良く分からないけど。
音が変わったのはいいことなのかな。

その後1時間ほど雑談をした後、
奏くんは再びピアノの前に座った。

「社会人、ですよね?」

「はい」
「恐らく。奏にとって初恋です」
「え・・・」
「傷つけるな、とは言いません。男と女ですから。
でも中途半端に接しないでくれますか?」
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