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虹色の楽譜
第3章 黄
好きだと言われた訳でもなく。
ただデートに誘われただけ。
付き合うとは、決めていない。

でも、今日のデートは凄く楽しかった。

私の理想は、エリートなんだけどな。

そう思って自分の考えに可笑しくなって笑った。
奏くんに出世欲があるかなんか分からないし。
音大を出たからってプロになれるのはトップクラスだけ。
音大って学歴も・・・
社会ではどこまで通用するのやら。

私の理想とかけ離れている奏くんに可笑しくなる。

受付に座って、毎日のようにエリートの社員に食事に誘われて。
慎重に、その人の出世を測ってきた。
誰と結婚するのが1番いいのか。
それを考えてデートしてきたように思う。

私にとってそれは重要なことだったのに。

よりによって・・・・
あまり将来が見込めない、大学生と付き合うかもしれないなんて。

先週の自分が聞いたら、やめた方が良いって言うかもしれない。

でも、今日のデートの楽しさは。
会社のどんなエリート君も私に体験させてはくれなかった。

またこの人とデートしたいなんて。
思ったのは何年ぶりだろう。
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