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虹色の楽譜
第6章 藍
「待っててなんて軽々しく言えないよ」
「待ってるなんて軽々しく言えないわ」

「茜さん。愛してるよ」
「私は・・・愛してるとは、今は言わない」

声に涙がにじんだ。

悔しいから、涙を奏くんのコンクール帰りのスーツにこすりつけた。
化粧が付いたって構うもんか。

「それでも、愛してるよ。
俺の全ては茜さんだよ。茜さんが俺の音のすべてだ。
今日いただいた評はすべて茜さんがくれたものだよ。
俺の音に茜さんが色を付けてくれたんだ。ありがとう」
「・・・・奏くん」

「素敵な人がいたら俺にかまわず結婚して」
「奏くんは素敵な人がいても結婚しないで」

「うん」
ギュッと抱きしめるその手が痛い。

「好きなところへ行けばいいわ。
私を置き去りにした事も忘れちゃえばいい」
「ごめん。そんなこと言わせてごめん」

「愛してるわ」
「愛してるよ」

ゆっくりと、お互いがお互いを望むように
キスをした。
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