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虹色の楽譜
第7章 紫
「あれ?村松さん。いらっしゃい」
月に1度か2度。奏くんが弾いていたレストランに顔を出す。
ほんの少しの感傷的な感情とともに。
ぐるりと店内を見渡して。
あの頃と何も変わっていないと、私自身と同じだと苦笑いする。
どこかの席にオーナーを見つければ少し話をしたくて挨拶に行く。
あの頃の私たちを知ってる人はオーナーしかいないから。
いつも奥さんの響子さんと一緒に食事をしている。
仲がいいんだよね。
「お久しぶりです」
「おひとり?」
響子さんはそう言って私をいつもからかう。
「おひとりです」
私もそう言っていつも通りに笑う。
「奏なんか待ってないで恋をしたほうがいいぞ。
いつ帰るか分からない男なんか待ってると
20代が終わっちゃうぞ」
「もう終わりました」
豪さんにニッコリ笑うと
「え?村松さん30歳になったの?」
と響子さんがびっくりした。
「はい。今日で」
「誕生日か。早く言えよ。この席に移動して一緒に祝おう」
私の食べかけのお皿が豪さんたちの席に移された。
「お誕生日おめでとう。
あの受付で可愛く座っていた村松さんも30なのねぇ」
響子さんのしみじみ言う言葉に笑った。
「このレストランのオーナーの豪さんが実は噂の人だとは
思いもしませんでしたよ。私、豪さんが響子さんを迎えに来た日は
休みだったんですよ。後で話を聞いてびっくりしたのが昨日のようです」
「村松さんもいい相手を見つけないと」
そう言って、豪さんはここ6年。ずっと私を気にかけてくれている。
月に1度か2度。奏くんが弾いていたレストランに顔を出す。
ほんの少しの感傷的な感情とともに。
ぐるりと店内を見渡して。
あの頃と何も変わっていないと、私自身と同じだと苦笑いする。
どこかの席にオーナーを見つければ少し話をしたくて挨拶に行く。
あの頃の私たちを知ってる人はオーナーしかいないから。
いつも奥さんの響子さんと一緒に食事をしている。
仲がいいんだよね。
「お久しぶりです」
「おひとり?」
響子さんはそう言って私をいつもからかう。
「おひとりです」
私もそう言っていつも通りに笑う。
「奏なんか待ってないで恋をしたほうがいいぞ。
いつ帰るか分からない男なんか待ってると
20代が終わっちゃうぞ」
「もう終わりました」
豪さんにニッコリ笑うと
「え?村松さん30歳になったの?」
と響子さんがびっくりした。
「はい。今日で」
「誕生日か。早く言えよ。この席に移動して一緒に祝おう」
私の食べかけのお皿が豪さんたちの席に移された。
「お誕生日おめでとう。
あの受付で可愛く座っていた村松さんも30なのねぇ」
響子さんのしみじみ言う言葉に笑った。
「このレストランのオーナーの豪さんが実は噂の人だとは
思いもしませんでしたよ。私、豪さんが響子さんを迎えに来た日は
休みだったんですよ。後で話を聞いてびっくりしたのが昨日のようです」
「村松さんもいい相手を見つけないと」
そう言って、豪さんはここ6年。ずっと私を気にかけてくれている。