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オーバーナイトケース
第3章 不思議な出会い

ここまでの道のりをほとんど覚えていないが、
どうやら地下鉄を乗り継いできたらしい。

六本木。
夜の街をうろつきたかった。

なんで六本木なんだろう・・

よくわからないけど、乗り継いだ地下鉄の駅だったことと、
渋谷よりは大人の街だから・・

それに路地をどんどん奥に進めば静かな店がたくさんあるから。



西麻布方面に向かってあてもなく歩く。
金曜の夜のわりには人影はまばらで、
今の私にはちょうどよい賑わいだった。


何軒かの店を通り過ぎ、一旦途切れてからぽつりと灯りをともすバーを見つけた。

表にテラスがあり、今は誰も座っていないが
夜風が心地よい季節にならここに座りたいと思わせるようなおもむきがあった。

ドアを開けると、何組もの客達が
おだやかな騒がしさでグラスを傾け語り合っていた。

私は迷わずカウンターに座る。
ひとりの時はここが一番気兼ねなくいられるから。
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