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オーバーナイトケース
第3章 不思議な出会い
休日に代官山の大きな本屋にでかけては
のんびりと本を探し、緑の下でコーヒーを楽しむ。

その後ブラブラと店をのぞいたりする。
ちょくちょく訪れるリサイクルショップは、場所柄か
高級品の中古やきれいに使ってある品物が多くある。

その中でひときわ私の目を引いたのがこのバッグだった。

クロコの型押し、程よい大きさ、そして日本の藍を思わせる紺色。
あまり見かけない色であることと
メイドインフランスの文字にも背中を押され、
リサイクル品で3万円はあまり出したくない金額だが買うことにした。

元値はこの十倍ちかくしたんじゃないかな、と
店のオーナーは私をラッキーだともち上げた。

その高級なバッグを、誰かが要らなくなって売っぱらってしまったこのバッグを、
男は知っているのだろうか?

私が答え終えても男は黙ったままバッグを見つめていた。
その様子がとても気になったので、今度は私から質問した。
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