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オーバーナイトケース
第3章 不思議な出会い
「もうこのバッグを持って彼の部屋に行くこともなくなる・・
 今夜の事がきっと終わりの合図なんだと思う・・
 いつか訪れることになっていた偶然、だったんじゃないかしら・・」


バーテンの後ろの熱帯魚たちは、私の気持ちなんかこれっぽっちもわかることなく、
鮮やかな色の体を揺らしている。
その自由に泳ぎ回る姿に、憧れの眼差しを注いでいる私がいる・・

もう終わりにしよう・・
好き勝手に自由に泳ぎ回るためにも、彼への愛を断ち切ろう・・

あおるようにワインを飲む。
唇の端から細く喉へとワインが伝った。

男は私の喉元を憂いた眼差しで見つめた。


「この出会いも・・
 いつか訪れることになっていた偶然かもしれないですね・・
 このバッグが僕らを引き合わせたのかもしれない・・」


男は視線を私の瞳に戻し崩れるように笑った。


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