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藍の果て
第4章 バルトの復讐者

「へぇ……。お前、案外面白ぇじゃねぇか」


傷を付けられたというのに、その張本人に逆上せず寧ろ興味を持った様な男の口ぶり。
リオにとっては奇妙で、異常な感覚でしかない。
護身用の短剣は刃の辺りが朱に染まり、手ごたえの様な感触が手元に直に伝わるのが怖かった。
気が付いたら手元が少し震えている。




「こっ、これ以上、ユリアに変な真似するなっ!」



もう一度、もう一度当てる事が出来ればッ……!
ほんの脅しのきっかけになるのかもしれない。

リオの足が木目を蹴っていた。



カシャン——ッ!



乾いた音を立てて短剣は無残にも廊下に転がる。
細い腕を掴まれ、容赦なく引きずり込まれるように接近する身体。
獣の様な男の顔が間近に迫られて、その威圧感にリオも思わず息をのんだ。




「本気で俺に敵うと思ったのか?ガキ」


「あっ、たり前だっ!ユリアに手を出せば本気で殺すっ!」

噛みつきそうな勢いで捲し立てて、叫んだ。
殺せる、なんて思っていない。
下手をすれば殺される。だが、ここで弱みを見せるわけにはいかなかった。



「ふっ、ハハハッ!殺す?テメェが……、俺をか?大した番犬だ。クククッ……」


「何が可笑しい!?僕は本気だっ!」


しかし、男は意外な言葉を口にした。



「俺の目的は〝デイジー”ただ一人だ。奴の女には……まぁ、興味はあるが、別に殺すつもりはねぇよ。

テメェの本気は買ってやっても良いが、その代わり……、死ぬ覚悟は出来てんのか?」



死ぬ。ふざけ合いでも何でもない。目の前の男は本気で、この質問をしてきている。
射貫かれるような瞳の圧力に、リオの前身は粟立つ。
やはり悔しいが、勝てない。ナイフを握りしめる本能が、訴えていた。


押し黙るリオに男のほうが察した様だった。



「良いこと教えてやろうか?安い挑発は、相手を選べよ……クソガキ」

「なっ!?」



図星を突かれた。こんな男に見透かされ、ユリアを守る番人としてのプライドもあっさりと圧し折られる。
言い返す言葉が見つからない。リオは歯噛みしながらも、真っ赤な顔を俯かせた。



悔しいっ

こんな奴に、こんな奴に僕はっ……!




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