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藍の果て
第4章 バルトの復讐者
城勤めといっても、下剋上上等の危険な場所だ。
兵力として買われた人間は、色々な事をやらされた。
情報収集から、王に忍び寄る怪しい連中を暗殺する事まで。
シルヴァもデイジーも、大人の兵力に勝るとも劣らない確実性で仕事をこなしていった。
デイジーは無駄がない。
必要以上の傷は付けないし、必要以上の接触もしない。
大人たちは違った。痛めつけて楽しむし、女を殺す時も平気で犯した。
目を覆いたくなる惨劇にして、連中は力を誇示してる様だった。
デイジーは苛立たしい男だったが、その手際は綺麗だった。
一種の芸術と錯覚する程に、どういう手を使うのか皆安らかな寝顔をしている。
あの夜も、とても…………それは見蕩れる程に、綺麗だった。
「シルヴァ!シルヴァ、来い!来てくれ!!」
息を切らしながら同じく警備に当たっていた男に招集される。
星も映えるような闇が、空を覆い尽くしていた。
扉を蹴破って男と同じく中へ入ると、パルバナから仕入れた装飾品の数々や、高価な家具が飛び込んできた。
その床には、バスローブに包まれた男の姿、そして、寄り添う様に横たわる女が居た。
「っ!こ、国王……」
一瞬の静寂の後に広がった血溜まりに、傍にいた男は腰を抜かす。
「うっ……あ、あぁぁ……、なん、で……、俺は……俺はちゃんと……見張ってた、俺はっ!」
ガッ。
咄嗟に男の頬を拳で力いっぱい殴りつけていた。
冷静な判断力を呼び戻させる為。何より、言い訳満ちた責任転嫁の言葉は耳障りだった。
「んな事、言ってる場合かっ!立てっ!!暗殺者はまだ遠くには行ってねぇはずだっ!!」
男の胸倉を掴みかかり、唸るような声がシルヴァの口からもれる。
「これ以上の泣き言は俺が許さねぇ……!犯人を見つけ次第、片付けろ。俺も、探す」