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藍の果て
第4章 バルトの復讐者

「だろうな」
他人事めいた返事が返ってくる。
泣きそうな表情を浮かべていたと一瞬思ったのは、深い闇に映る紅の瞳が綺麗だったからかもしれない。
次の瞬間、シルヴァの視界がぐらりと歪んだ。
嗚咽する息苦しさに再び襲われて、鳩尾に一発入れられたのだと気づいた時には遅かった。
隙だらけだった自分を悔いる。
あんな表情をするなんて反則じゃねぇか……
全てを踏み躙った男は、シルヴァの髪をくしゃりと撫でる。
「いつか、借りを返しに来るだろう?あんたは。……待ってる」
薄らぐ意識の中で、砂漠の中へと消えていく男の姿が映った。
必死に手を伸ばそうとしたが、届かない。
——待。待てよ。話はまだ……まだ、終わっちゃい、ない。
シルヴァはその砂地に溶ける様に、重い瞼に抗う事が出来なかった。

