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藍の果て
第5章 生存者
「ガキの癖に、覗きか?」
大きな温もりに視界は塞がれ、背後から囁かれる低く掠れた声。
この家を襲い、図々しくも未だ出て行かず居座っている男。
「あいつらオカズに、一人でオナニーでもしてたのかよ?ククッ……変態だな、テメェ」
続かれる下品な言葉の羅列に、その手を振りほどこうと払う。
背後の男の方が数段動きも素早く、勢いで殴りかかろうとしたが、あっさりとかわされて、押し潰されるような勢いで口を塞がれた。
口元を覆う男の手を振りほどこうとするも、力の差は歴然だ。
面倒そうな舌打ちと鋭い眼光がリオへと向けられる。
「んむぅっ……むぐっ!」
「静かしろっ。奴らに見つかりてぇのか」
「!」
こんな所に居合わせた事が、二人にバレれば……どうなるのだろう。
リオは元の三人には戻れなくなる気がして、首を振る。
すると、少しだけ彼女の口を覆う力は緩められる。
異様な光景だった。
愛し合う、互いの熱を求めあう夫婦の傍で、押し入ってきた男に自由を奪われている。
二人の声は本格的な交わりに入ってきたのか、苦しそうでいて昂っている女の声が聞こえてくる。
――まただっ……だめっ!
内腿の上、女のまだ誰にも触れられた事もない、女の恥部が震えて力が入らない。
体中が熱くなって、風邪でもひいているのか、と思うほどくらくらした気だるさ。
目の前の男・シルヴァを睨みつけて反抗の意図を示したが、彼の口からもれたのは盛大な溜息だ。
「っ!何つー顔してんだよ……ガキの癖に」
紅潮していく頬は色白に、ほんのりと桜色に色づく。
戸惑いと羞恥に涙を浮かべて、睨みつける顔は子供の言えど、微かな色香も匂わせる。
獣の嗅覚が甘い香りに吸い寄せられるように、シルヴァの頭がリオの首の付け根へと落ちる。