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藍の果て
第5章 生存者
「ん……っ」
重たい瞼を擦って目を開けてみると、そこには何時もの天井がある。
いつもの布団に、いつもの枕、全ては何時も通りの朝。
「あ、れ?……夢……だった、のかな?」
夢……?
大切な二人が、見た事もない貌をして快楽を求めあう動物の様な姿。
目を逸らしたいはずなのに、切なくなってくる下腹部の熱。
そして、自分とそっくりな瞳をした男の……痛いほどの唇の感触……。
「いやっ!夢、だ。夢!そう、何かの間違いだよ」
全ての曖昧な情報を打ち消すように首を振って、リオは勢いよく扉を開ける。
ガンッと鈍い音がした様な気がして、不思議そうに音の方角へと視線を向けると……
獣の様な蒼の瞳とかち合ってしまった。
「っ、ってぇな……。テメェ、わざとか?!クソガキ」
不機嫌そうに眉間に深く皺を寄せた不愛想の塊の様な面構えで睨む男の貌は、最早ただのチンピラだ。
予想外の人物の朝一番の登場に、リオの悲鳴と驚愕の雄叫びは家中に響いていた。