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藍の果て
第8章 交渉
デイジーは、市場へと続く細道に立っていた。
リオを家で待たず一足先に出て来たシルヴァに、癖づいた肩を竦める仕草をしながら相変わらずのシルヴァの態度に苦笑する。
「あんたの要望だろ?少しはリオを待ってやったらどうだ?」
「奴を推薦したのはテメェだろうが。……ったく、テメェこそ、あのガキと一緒に来ると思ってた。
やっぱり渡さねぇ、なんてごねるのかと思ったぜ」
ちょっとした仕返しのつもりでデイジーを挑発的な笑みで見据えてみたが、当の本人は何の気にもなさそうに口角を上げる笑みを浮かべている。
「まさか。これは、リオが決めた事だ。俺に口出す権利は無い。
しかし、あんたも俺に頼んでおけば、もっと上手く交渉を成立させる事が出来ただろうにな……。
あんな方法じゃ、リオのあんたに対する心象は、最悪もいいとこだ」
「別に構わねぇよ。元々、あのガキに対する俺の印象なんてのは、そんなもんだ。
ただ、これからは奴の命も権限も、バルトが預かるぜ。俺がどう使おうが、俺の勝手って訳だ。分かってんのか?」
「それをどうして俺に尋ねる?バルトに向かう時点でリオは、バルトに身を預けるのと同じ事だ。
別に確認を取らなくても、俺は分かってて送り出してる。陛下、前国王ならば……部下にいちいち了承を得ずとも、自分の道具は自分の好きな様に使っておられましたよ?」
「っるせぇ、分かってる!!気色悪い敬語はやめろっつってんだろうが!!」