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藍の果て
第9章 二部 バルト
それは嫉妬するほどに月明かりの美しく輝く夜。その青白さは艶やかな雰囲気を照らす。
「……ルヴァ……シルヴァ」
柔らかな声に耳元で囁かれた気がして、未だ睡魔から解放されきってない瞼を重そうに開ける。
流れる様な白銀の髪が頬を撫でて、くすぐったさに僅かに眉を寄せた。
目を覚ました事に一瞬驚いた表情で見つめていた女は、白い手をそっと男の手に重ねてくる。
指を絡ませるように触れて来た体温はとても冷えていて、その温度が心地よくて女の指を捕まえて握り返す。
「眠れねぇのか?」
こくん、と頷いた女はシーツに転がるように、懐へと忍び込んでくる。
傍に寝転んで身体が密着すると、その柔らかさが押し付けられて頭がクラクラした。
背中越しに女の鼓動が伝わってくる様で、触れ合っている部分が熱を持って柄にもなく心臓が跳ねる。
「シルヴァ……僕、もっと……、もっと、触れたい。熱くて、切なくて、眠れないんだ……」
「っ……」
苦しさの中に自分だけに助けを求めて縋ってくる女の声に、理性の歯止めなんていうのは、こんなにも脆く頼りないものだったのだろうか。
まるで月光の色に似ていた女の髪を撫でて、石鹸の香りに誘われ彼女の身体をかき抱いた。
強張って固くなる様子に気づいていながら、それでも目の前の彼女を欲しいという欲求を抑えられるはずも無い。
「今更、遅ぇよ」
これから、いくら拒もうとした所で、止まるはずも無いし、止めてやるつもりもない。
合わさる様に留められたボタンを無理矢理に引きちぎる様に外してしまう。
灯りが無くとも、月の光で照らされていく彼女の滑らかな白い肌に、その曲線に合わせて手を滑らせると、大きな吐息が唇からこぼれる。
柔らかい膨らみに手が届くと、その輪郭を撫でてみる。
「はぁ……ぁっ、んっ……」
自分の掌が男の様に振る舞う彼女に、女としての悦びを与えている。
艶めいた彼女の声を聞けるのも、その熱を帯びた視線を独占出来るのも自分だけ。
指を埋め込むほどに膨らみにふれると、ぐに、と柔らかく指に吸い付く素肌の感触が病みつきになりそうだ。
「や、ぁっ……シルヴァ…っ」
「嘘つけ。凄ぇ吸い付いてきてるくせによ」
膨らみが果実のように瑞々しく見えて、舌を這わせる。
ぴくり、と浮いた腰を引き寄せて、桜色の蕾を唇で挟んで吸いたてた。